「イオンの偽装豆腐に注意」という記事が炎上している、手厳しい批判があるが・・・

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「偽装とうふに注意!イオングループのスーパーで、最近やたらと出回っています」というタイトルでアップされた栄養管理士である杉山佐保里さんのブログが物議をかもしている。

出典 杉山佐保里の子供の食育ブログより抜粋

あるオーガニック大豆で作った腐は
150gが3丁入って98円・・・
店頭では飛ぶように売れてました。

最近、この手の「オーガニック」をうたった
悪質な商品が増えてきている。
さっそく原材料をチェック。

<150gが3丁入って98円の豆腐の原材料>
有機大豆(中国)
パーム油、凝固剤(粗製海水塩化マグネシウム にがり)
塩化マグネシウム(にがり)
消泡剤(レシチン:大豆由来、炭酸マグネシウム)
中国産のオーガニック。
しかもこの油・・・
この価格で売り出している以上、
どう考えても一番搾りの油は
使っていないと容易に想像できます。

つまり、ヘキサンという劇薬で
処理しなければいけない油。

~中略

食品添加物、放射性物質、電磁波、
フッ素、トランス脂肪酸、農薬、
小さな不自然なつみかさねが、
大きな不自然な病と化します。

ちなみに、本物のお豆腐はといえば・・・。
<本物の豆腐の原材料>
大豆(国産大豆)
凝固剤(塩化マグネシウム にがり)
原材料名、以上!
偽物を買わない消費者が増えれば、偽物は店頭に並ばなくなります。逆に言うと、こんな商品を並べたのは消費者である私たち自身なのです。自分のカラダを自分で守ることは愛する人のカラダを守ることにもつながるのです。

 

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この記事がYahoo!ニュースに掲載されると、以下のように食品添加物に詳しい専門家から手厳しい批判にさらされてしまった。

「<偽装豆腐>という間違いだらけの指摘にこそ注意!この記事、間違いだらけです」
食品添加物は悪者ではありません。

「ヘキサンとトランス脂肪酸は関係がない、消泡剤は、適切に使えば安全」
「偽装」の根拠は個人の感想であり、食の安全について長年取材してきた私から見て問題のない成分しか入っておらず、安心して食べて大丈夫です。
専門家の立場から食品添加物は、日本では食品安全委員会の専門家が安全性の評価をしたうえで、人に影響が出ない量や方法で用いられています。適切に使われていれば安全性に問題はありません。
管理栄養士をしていて添加物に対しての知識がなさすぎる。

出典 松永和紀 BuzzFeed Japan, Contributor / 科学ジャーナリスト

 

他にも

「またもやヘンテコな管理栄養士さん発見!!
スーパーの豆腐に物言う的に意気込んでいるけど、知識が・・・

「<イオンで偽装豆腐?> 量の概念を欠いた添加物悪玉論に要注意」

などと手厳しい反論があがっていてSNSでちょっとした炎上騒ぎとなってしまった。

子供の体にはできるだけ安全なものをを取り入れたい、という趣旨はわかりますが、「イオン」とういうスーパーの名前を名指しして表記したこと、食品衛生法で認められている添加物を使用して作られている豆腐を「偽装豆腐」と断定してしまったことが問題になってしまったようだ。

せめて、「あるスーパーで売られている」とか「偽装豆腐まがいの」という表記であれば問題にはならなかったのでしょうが!

食品添加物に深い知識のある専門家の立場からすると添加物に対する知識がなく内容がでたらめであり、食品添加物は安全なものだとの反論を招いてしまった。

しかし、いくら専門家とはいえ食品添加物の安全性を力説されても私を含め、消費者からすると「本当に100%安全なのだろうか?」という思いは払拭できない。
ラットによる動物実験では安全とされているが、接種し続けた結果、2世代3世代にわたる影響は当然のことながら検証されていない。

今の社会では私たちは食品添加物による恩恵を受けており、なくては食生活が成り立たないものとなっています。

保存料がなければ、食品の価格は上昇し、廃棄品も増えるでしょう。
また賞味期限も短くなり、保存性も低下するため逆に食の安全性が損なわれることが考えられます。

以上のような理由からなくてはならないものですが、ブログに書かれているように必要以上に添加物が使われているものが多いことも確かです。

今回取りあげられた豆腐に添加されている種類の多さをみると、豆腐一丁作るのにあれだけの添加物を入れる必要があるのかと素朴な疑問が起こります。

確かにたくさん添加物を使用すれば驚くほど価格は安く提供できるが、このことが豆腐業界にまた別の問題を起こしている。

 

街の豆腐屋さんが激減し、豆腐業界が危機に瀕している。

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健康志向の高まりからも人気の「豆腐」。
しかし現在、大手豆腐メーカーの独占などによって、小規模豆腐店が廃業を余儀なくされ街のお豆腐屋さんが次々と消えていき豆腐本来の製法技術が絶滅の危機に瀕している現状があります。

大手メーカーが価格の安い豆腐を大量に生産できるようになった結果、1960年のピーク時に5万1596軒もあった豆腐屋の数は、2015年には7525軒にまで減少してしまった
なんと85%もの街の豆腐屋さんが無くなったことになります。

昭和40年代からスーパーが台頭し、豆腐も目玉商品のひとつになると同時に安売り競争が始まりました。
スーパーは大量の購買力を背景に仕入れ価格を指値で決めてくるため納入業者には交渉の余地がなく安値を受け入れるしかありません。
断ればほかの業者に変えられてしまうだけです。

この悪循環により豆腐の価格はさらに下がり続けることになります。
全国のスーパーの特売を調べるサイトで今調べてみたところ滋賀県長浜市のスーパーで絹豆腐(300g)が37円で販売されていました。

このような価格には街の豆腐店はとても価格ではかなわないため消費者はスーパーへ流れ廃業へ追い込まれることになる。

大手メーカーといえど利益を守らなくては倒産してしまうので使用する豆乳の量を抑えるしかない。
天然のにがりではなく人工的なにがりを使えば凝固力が強いので濃度の薄い豆乳でもしっかり固めてしまうことができるため使用する大豆の量も1/2〜1/3に抑えることが可能になります。

たくさん使用すれば安い豆腐は提供できますし、消費者のニーズに応えるという点では大事なことなのでしょうが、これはもはや豆腐と言えるのでしょうか。
こうしてスカスカで味のない豆腐が売り場を席捲することになり、街の豆腐屋さんと本物の味のする豆腐がどんどん消えていっています。

厳しい状況にあるのは豆腐限だけでほありません。
「納豆」や「もやし」も同じ状況におかれています。日本人の食卓にあったものがこのままだと近い将来に食卓から消えてしまうかもしれません。

大豆の価格が高騰しているにも関わらず豆腐の値段は下がっている、その結果、大豆の使用量を減らした質の悪い豆腐が増えることになります。

日本は諸外国に比べていろいろな規制が緩すぎる

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食品添加物

食品添加物に関して言えば海外では規制されているものが国内ではいまだに使用されているものもあります。

トランス脂肪酸を例に見てみると、これはEU諸国ではトランス型脂肪酸を含む油脂製品が販売禁止されていたり、毒物と扱われているものでもあります。
アメリカの米食品医薬品局(FDA)は、トランス脂肪酸を規制し、許可制として取り組み始めました。

タール色素には発がん性があります。北欧では禁止されているタール色素が、日本では11種も使用されています。

食品添加物の毒性の考え方は「容量依存性」によるもので、「たくさん食べたら毒になるが、一定の量までなら無毒であるとという考え方に基づいている。

ある日突然⚪️⚪️の食品添加物が有害なものだったと分かったときはどうなるのでしょうか?

「〇〇に発がん性やアレルギーが確認されたので厚生省は〇〇の使用を禁止します」と発表されて終わりになるだけでしょう。

 

農薬

農薬については、日本の耕地面積当たりの農薬使用量は、中国、韓国に次いで世界で第3位となっています。 農薬を大量に使うイメージのある米国の、何と約5倍も使用されているのです。

日本の消費者の求める農産物はとにかく綺麗なものを求めます。
スーパーへ行けば、虫食いの無い綺麗で立派な野菜やまるで芸術品のような果物が並んでいる。

ちょっとでも虫食いがあれば買われません、とにかく色艶がよく虫食いの跡が無く、見た目の良いものしか売れません。
これを可能にしているのは農薬の存在なしには不可能なことなのです。

この消費行動が農家にフィードバックされ、さらに農薬の使用量が増えることになる。
つまり農薬の使用量を増やしているのは消費者自身なのだ。

 

遺伝子組み換え食品

大豆とトウモロコシの使用量が5%以下の加工食品は表示義務がありません。使用量0.9%未満を基準とする欧州連合(EU)との比較で「日本の基準は甘い」ともいわれる。

日本に輸入される大豆の7割は、栽培される大豆の94%が遺伝子組み換えのアメリカから輸入されています

「主な原材料」でない場合は表示義務がありません。 「主な原材料」とは原材料の重量の多い順から数えて上位3番目以内であり、かつ重量全体の5%以上を占めるものを指します。
原材料は多い順に記載することになっていますが、その3番目以内に入らないものは表示しなくてもいいのです。

不使用と表示されていても全く入っていないということではないのです。

スーパーには、「不使用」の表示があふれかえっていますが、これだけ大量に輸入されている遺伝子組み換えの大豆はどこへ消えているのでしょうか。

コーン油、大豆油、なたね油(キャノーラ油とも)、綿実油、サラダ油(これらの油の混合)には、「遺伝子組換え」の表示の義務がないため表示してありませんが、これらの油のほとんどは、実際には遺伝子組換えなのです。

 遺伝子組み換え作物に詳しい東京大学の大杉立教授(64)は「間接的だが、消費者は知らずに遺伝子組み換え作物を口にしている。知らずに食べている状況は好ましくない」と指摘している。

小さいお子さんには本物の味を教えておいてあげたい

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こどもは9歳までに覚えた味を、一生忘れないといいます。つまり9歳までに毎日食べ続けている食事が、その子の一生の食事の基準を決めてしまうのです。

本物でない”食べ物ばかりを食べて育っていれば、その子は一生本物の味がわからないまま大人になります。

また、だしには「旨み」という味がありこれは日本人が発見したものです。
英語には旨みに対応する言葉がないため、近年では、諸外国でもこの旨味が着目され国際的にも学術用語として「umami」が使われるようになっているそうです。

子供の一生の味覚は3歳までに決まると言われています。
味覚で感じるものに「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」という4つの基本の味覚ががありますが、それ以外に説明できない味覚が「旨み」です。

味覚が形成されるためのとても大切な時期にこの「旨み」を経験することで繊細な味が分かる味覚が形成されるようです。

日本人の繊細な舌の秘密はここにあり、この時期にあまり濃い味のものを与えるとその味覚は養われにくくなる。

私たちの食卓はここ50年の間に、本来のものとはかけ離れたものになってしまいました。

本物の豆腐は値段がどうしても高いのでお財布と相談すると毎回というわけにはいきませんが、せめてシンプルな湯豆腐や冷奴など豆腐の味がダイレクトに味わえる時にはたまには特にお子さんには味覚を育てるためにも本物の豆腐を食べさしてあげたいものです。

気のせいかもしれませんが最近スーパーに行き豆腐売り場を見ると以前より大量の添加物を使用した豆腐が少なくなっているように思えますが、炎上した杉山佐保里さんのブログがきっかけであれば、専門家のかたから批判を受ける部分の内容はともかく警鐘を鳴らした意味はあったのではないでしょうか。

あまりにも本物の豆腐からかけ離れてしまった豆腐はもはや豆腐ではないという意味からすれば「偽装豆腐」と呼べるかもしれません。

伝えたかったのはこういうことだったのではないでしょうか。 私はそう理解します。